歯科治療中の事故
埼玉県で小児(2歳)の歯科治療中に脱脂綿が口の中に落ち込み、窒息死する事故が起きました。
歯科治療中の小児の死亡事故は、過去何回か報告されています。過去の事故の中で多いものは、子供の治療中の嘔吐→歯科医師が気づかない→嘔吐物を飲み込んで窒息
というパターンが多いようです。
子供さんが治療をこわがってあばれるので手足を網で固定したり、器械で口を開けさせている
ため、本当に窒息して苦しいのであばれているのが判らないことがあるのです。
また、恐怖のため、嘔吐する子供さんも多いので、注意が必要です。
当院では事故の可能性をなるべく低くするために、できるだけ拘束する器具は使用しないように、患児の協力を得ながら治療するようにしています。しかし、事故を防ぐためには私たちだけでなく、患者さん側にもお願いしたいことがあります。
1.未就学児の「削る治療」の場合は、なるべく、平日の3時ごろまでに受診してください。
土曜や、平日の4時以降の混み合うことの多い時間帯やはなるべく避けて受診してください。特に夕方は、子供さんが疲れている場合が多く簡単な治療でも処置ができなくなることもあります。 また 治療中は安全確保のために人手が要ります。
2.食事直後や満腹時の受診は避けてください。
お腹にたくさん物が入っていると嘔吐しやすくなります。嘔吐を我慢するので口をおおきく開けることができません。事故の中では嘔吐物を誤嚥するものが一番多いといわれています。
3.体調の悪いときや鼻詰まりのあるときは受診を控えてください。
予定していなくても、治療には麻酔の注射などが必要になることがあります。
「今まで何回もしているから大丈夫」ということは言えません。大人でも体調の悪いときは歯に注射しただけで全身に異常がでることもあります。また鼻詰まりがあると、口で呼吸をすることになりますが、「削る治療」では口で呼吸ができません。 「歯がいたい」などの急性の症状がないときは受診を控えてください。
「風邪をひいて学校を休んだから、(小児科へ行ったついでに)歯科に来た、虫歯を治療してほしい」 と言う方が過去にありましたが、歯科治療というのは小手術が多く、一般の「診察を受けて薬を受け取る」というタイプの治療とは違いある種の配慮が必要なものであることを理解していただきたいと思います。
4.定期検診を受けてください。
虫歯がなければ削ったりする治療を受ける必要はありませんし、虫歯の治療は小さな虫歯ほど
簡単に終わります。定期検診は予防処置をするのと虫歯が小さい間に発見して早期に処置する
ためのものです。
「乳歯の治療はする必要がないから、痛くなったら抜けばよい」と思っている人も、まだたくさん
いますが、歯並びや健康な筋肉の成長を犠牲にして一時的に痛みをとるだけの処置をしているの
ですから、子供の将来におおきな借金を負わせているのと同じです。
子供さんが歯医者になれるということは大変なことです。もちろん、治療を行うのは大人でも嫌なことですから、子供ならなおさらです。子供の歯の治療だから早く終わらせてほしいという希望の方もおられますが、子供の治療のほうが慎重に行わなくてはならないのです。
投稿日:2010年6月14日 カテゴリー:子どもの歯の治療, 未分類