その優しさは誰のため?
歯科医療というものは歯との別れを考える場所でもあります。
治療しても抜歯しなければならない歯もありますし、来院された時点で抜歯しかない状況ということもあります。
そんな時、「抜歯はしたくない」や「何とか歯を残したい」という希望で当院に来院される方も多いです。当院では歯の寿命を延ばしたいということを念頭に治療をしています。
基本的な姿勢なので、実際に「とにかく痛みをとりたい」や「硬いものが噛めないなら歯は要らない」という考えの方とは合わないわけです。
その、歯を何とか残したいという優しさというか姿勢は評価されにくいと感じています。ある程度の違和感はあるが歯は残せるというものが受け入れられない場合、ただのやぶ医者と判断されかねません。
この線引きが本当に難しいのです。ここで「様子を見ましょう」という言葉を使うわけですが、この言葉も「治っていないじゃないか」とお𠮟りを受けることも考えられます。この様子を見るという行為でこの歯が本当に残るのかを判断しています。様子を見た後に抜歯、となると今までの治療は何だったんだと思われるかもしれないのですが、最善策をとったうえでの判断ということを評価できないものかと思ってしまいます。
この優しさを取っ払ってなんでも「はい抜歯」と言える歯医者になるのは難しいです。
投稿日:2021年7月12日 カテゴリー:歯周病